生活様式がすっかり変わったwithコロナ時代、マナーの常識も変化しつつあります。ビジネスでもプライベートでも、新たな出会いが多い5月は、自分の立ち振る舞いや気の配り方を見直すのにいいタイミング。新時代のコミュニケーションとマナーについて、改めて考えてみるのはいかがでしょう。今回はマナーのプロ、ホスピタリティ&マナー・ラボ代表の長澤さおりさんに、「冠婚葬祭」「外食」「贈り物」「ビジネス」「訪問時」それぞれのシーンでやってしまいがちな"NGマナーあるある"について解説していただきます。
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"すてきな人"になれる
withコロナ時代のコミュニケーションとマナー
ホスピタリティ&マナー・ラボ 代表
長澤さおりさん
ホスピタリティ&マナー・ラボ 代表
長澤さおりさん
一般社団法人CAネットワーク理事。全日本空輸株式会社で客室乗務員として勤務し、クルーマネジメント、サービスマネジメント業務のほか、新人CAの指導、育成にあたる。退職後は"ホスピタリティマインド"の土壌作りを行った上でのビジネスマナー、接遇マナー研修講師として活動し、2016年に「ホスピタリティ&マナー・ラボ」を起業。マナーなどに関する講演やセミナー、企業研修、コンサルティングなどを行っている。
WEBサイト:https://www.hospitality-m-l.com/
冠婚葬祭のマナー:おしゃれよりも機能性を重視して不織布マスクを
淡いピンクなどの明るい色のマスクを選ぶと、肌が明るく見えます。
マナーの定義は「人に不快感を与えないこと」ですが、withコロナ時代に最も大切なのは「人に安心感を与えること」。特にマスクを含めた衛生面には、配慮が必要です。最近はさまざまなデザインのマスクが販売されています。華やかな結婚式では、ドレスに合わせておしゃれなマスクをコーディネートしたいところですが、大勢が集まる場でウレタンマスクや布マスク1枚はNG。飛沫対策で不織布マスクが推奨されています。ウレタンマスクや布マスクを付けるなら、不織布マスクの上に重ねましょう。通夜や告別式には、不織布の白マスクがおすすめです。
<冠婚葬祭のNGマナーあるある>
× 微熱があっても当日キャンセルは迷惑がかかるので参加する
通常ならば、結婚式の当日キャンセルは極力避けたいものですが、withコロナ時代は体調が最優先。新郎新婦やほかのゲストを不安にさせないためにも欠席しましょう。
△ 新郎新婦とマスクを取って記念撮影する
一生の思い出となる結婚式、マスクを着用している写真だけでは寂しいですよね。直前までマスクを付けて、撮る瞬間に外すなど、自制しながらの撮影を心掛けましょう。迷ったら式場スタッフに確認を。
外食のマナー:外したマスクは膝の上に置いて"マスク会食"
"マスク会食"と"マスク飲食"は、外食時の新しいマナーです。会話中はマスクを着用、食べる時だけマスクを外し、会話は控えましょう。一時的に外したマスクをテーブルの上にそのまま置くのはNG。私の場合、食事の際はハンカチをひざ掛け代わりにしていて、外したマスクはその上に。マスクケースを利用する時は、すみやかに取り出せるように心掛けています。
また、盛り上がると、つい箸やフォークを持ったまま話し続けてしまうことがありますが、コロナ禍だけでなく、そもそも食事のマナーとしてもNG。箸やフォークの先を相手に向けるのは失礼ですし、美しくありません。食べる時以外は、箸やフォークを置くと、マスクをつけて会話するタイミングもとりやすくなります。
<外食時のNGマナーあるある>
× 個室は空気がこもるので、こっそり窓を開けて換気する
換気はとても大切ですが、無言で窓を開けたり、過敏になりすぎたりすると「うつされないか心配なのかな」と、相手に誤解や不快感を与えることも。まずはお店の方に換気してよいか尋ねた上で「新鮮な空気を入れますね」と、相手への配慮であることを伝えながら換気しましょう。「寒くないですか?」など、相手への気遣いも忘れずに。
△ みんなでシェアするために大皿料理を注文する
大皿料理をテーブルの中央に置き、各々の箸で取るのはご法度。大皿料理を頼んだ時は、取り分け用の箸やトングを使いましょう。誰か一人が代表して取り分けると、衛生面でもリスクが減ってスマートです。
贈り物のマナー:賞味期限が短いものを贈る時は事前に連絡を
直接会う機会が減った分、通販サイトを利用して贈り物をする人が増えています。なかなか自由に外出できない状況下で、少しでも旅行気分を味わっていただきたいと、私自身も旬のフルーツや地元の特産品をよく贈ります。ただ、いくら相手を喜ばせたくでも、賞味期限の短い食べ物や、冷蔵・冷凍の品をサプライズで送るのはNG。在宅の都合や冷蔵庫の状況も考慮して、遅くとも前日には伝えておきましょう。
<贈り物のNGマナーあるある>
× 取引先のオフィスに、生菓子を持っていく
コロナ禍でリモートワークが浸透し、ほとんどの社員が出社していない企業も。手土産は賞味期限の短い生菓子は避け、日持ちのする個包装がおすすめです。多すぎると消費しきれないことがあるので、数も控えめに。
× 紙袋のまま、手土産を相手に渡す
紙袋には、外気のほこりや花粉などが付着しています。それらを相手のオフィスや自宅に持ち込まないためにも、従来のマナー通り、紙袋から取り出して手土産を渡し、紙袋は持ち帰りましょう。
× 「つまらないものですが......」と言葉を添える
最近では謙遜した表現が好まれないこともあります。「おいしいケーキ屋さんを見つけて」「こちらのお店のクッキーが好きなんです」などと気に入っているものであることを伝えてみてください。
ビジネスのマナー:オンライン会議は表示もアクションもわかりやすく!
「ありがとうございました」「よろしくお願いします」などと言葉で伝えた後、一礼をしたら頭を上げましょう。
リモートワークの浸透により定着したオンライン会議は、顔を合わせての会議と違って、相手の感情が伝わりにくいもの。「会議のジャマになるから」と、無反応でいるのはNGです。話している人が不安にならないように「しっかり聞いていますよ」「同感です」など、声は出さなくてもオーバー気味にアクションしましょう。
また、ビジネスシーンにおいて、表示名は読みづらいアルファベットよりも漢字かカタカナが一般的。参加人数が多い場合は、読みやすいカタカナが好まれます。企業との会議なら「課長〇〇〇」「ディレクター〇〇〇」など、役職を添えると親切です。
<ビジネスのNGマナーあるある>
× 上司や取引先が退出するまで待つ
以前は「上司や取引先より先に退出してはいけない」とされていた時期もありますが、現在は「どうぞご退出してください」と言われたら、退出してよいとされています。電話と同様、相手が言い残したことはないか間合いを取り、様子を見て退出しましょう。
× コロナ禍は名刺交換を控える
ソーシャル・ディスタンスで距離を保つように求められていますが、本来ビジネスシーンにおいて、名刺交換は相手のパーソナルスペースに入れる唯一のチャンス。お互いの仕事のスタートにもなる大切な場面ですので、感染対策をしっかりした上で挨拶すれば問題ありません。ただ、相手が不安な素振りを見せたら、安心する距離感を保つ必要があります。
× 「大変参考になりました」とお礼を言う
以前から間違いやすい言葉としてよく挙げられますが、「参考になる」は、自分に意見があるうえで「相手の意見が足しになった」ということ。本来、上司や先輩に言ってはいけない言葉です。「大変勉強になりました」が正解。同様に「ご苦労様です」ではなく「お疲れ様です」、「了解しました」ではなく「承知いたしました」が、目上の相手への正しい言葉です。オンライン会議に慣れても、言葉選びは慎重に。
訪問時のマナー:声のボリュームを抑えてトーンを上げ、表情は豊かに
知人友人の家を訪問した時、盛り上がるとつい大きな声が出てしまいますが、コロナ禍において、大声を出すのはNG。お互いの顔が見えないからこそ、言葉選びは丁寧に。声のトーンを高く、口角を上げるように意識すると、マスクをしていても明るくはつらつとした印象を与えます。また、ハンカチ、お手拭き用のタオル、替えのマスク、携帯用のアルコールスプレーなど、最低限の衛生用品は持参しましょう。
<訪問時のNGマナーあるある>
× オートロックが開いていたので玄関まで行く
ドアが閉まると自動的に施錠されるオートロックは、不審者の侵入を防ぐ防犯対策の一つ。住人や宅配業者の出入りでドアが開いていることがありますが、必ずインターホンで呼び出して開錠してもらうのがマナーです。
× リビングに通されてそのまま着席
訪問時に手を洗うことは、コロナ禍では不自然なことではありません。「このような時節柄なので、洗面所をお借りしていいですか?」と伝え、手洗いと消毒をしっかり行いましょう。
× 備え付けのタオルを使う
以前のマナーでは「使わないほうがかえって失礼」とされていましたが、コロナ禍においては、持参したタオルを使うことに違和感はありません。洗面所では水しぶきを飛ばさないようにしましょう。
マナーは時世と共に変化します。withコロナ時代のマナーで求められるのは、「相手の価値観や考え方に思いを馳せる」という姿勢です。もし迷ったら「不安にさせないためには、どうすればいいか」を考えましょう。相手への心配りの行動が、もし現行マナーとずれていたとしても、思いやりは必ず相手に伝わります。相手を思いやることができる人こそが、"すてきな人"として、ビジネスシーンやプライベートで、「また会いたい」と思ってもらえるはずです。
イラスト/二階堂ちはる