5月から9月まで、蒸し暑い京都の夏の風物詩として愛されるのが鴨川納涼床と貴船の川床。同じ「床」の文字を使いますが、鴨川では「かわゆか」、貴船では「かわどこ」と読みます。江戸時代からの歴史を持つ納涼床、青紅葉も美しい貴船の川床。どちらも夏の観光に欠かせないスポットです。さて今回は、そんな"床"から京都の夏に涼をもたらす珠玉の3店をご紹介します。
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夏の京都のプレミアムシート、川床で過ごす優雅なひととき
QIRA MAGAZINE編集部
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QIRA MAGAZINE編集部は、注目のレストランをはじめ、ライフスタイル、ファッショントレンド、カードをお得に使える情報など、新しい自分に会うためのさまざまなトピックスをご紹介します。
足元の真下を流れる貴船川。
自然の涼と楽しむ和の逸品
京の奥座敷と呼ばれ、古くは貴族たちが涼を求めて訪れた貴船の地。山に囲まれて流れる清流のせせらぎに小さな床几を並べ、足をつけて涼んだところから川床の歴史が始まりました。ここ「貴船荘」は、山間を流れる川が段差になって生まれた二段の大きな滝が目前に流れる特別な場所。川面をなでる涼風と岩を打つ水の音、京都市内とは約10°Cも違うといわれる気温の涼しさに、酷暑を忘れます。
この、床板一枚隔てて清流が流れる稀有なロケーションでいただけるのは、旬の素材の持ち味を生かした会席料理。
「清流会席」を選べば、京都の夏の風物詩として愛される鱧と鮎の両方がいただけます。「冷たいものは冷たく、熱いものは熱いまま、一番おいしい状態で召し上がっていただきたい」と美しい器に盛られたお料理は、一品ずつ作りたてを配膳。
床席は、かつての床几を並べたスタイルからテーブル席へと進化しており、正座で足をしびれさせることなく、ゆったりと食事を楽しめます。
特筆すべきは鮎。貴船川から引いた水で満たした総水量1トンの大型水槽に魚を放ち、水流を循環させて自然に近い状態で泳がせます。「鮎本来の"香り"と"旨味"を堪能いただくため、ご注文が入ってから活け締めにし、焼き上げます」と料理長。先ほどまで冷たい水の中、身をくねらせて泳いでいた鮎は特別なご馳走です。
さらに「お写真を撮られる方に喜んでいただいています」と教えていただいたのが浴衣散策プラン。浴衣や帯はもちろん、下駄や腰紐、帯板まで用意されています。
毎年最新の柄が加わるという浴衣は常時20種類ほどの品揃え。好みの一着に着替え、川床料理を楽しんだら、貴船散策へ。「ご利用頂いた浴衣のセットは全てお客さまへ旅の思い出として差し上げております」とは嬉しいお言葉。古から特別な場所として大切にされてきた京の避暑地を目で、耳で、舌で味わい尽くす贅沢な時間です。
貴船荘
京都府京都市左京区鞍馬貴船町50
https://www.kibunesou.com/
075-741-2222
風格漂う文化財の川床で、
洗練された京フレンチを
創業1870年の料理旅館「鮒鶴」を前身とし、数々のアニバーサリーの舞台に選ばれてきた「鮒鶴京都鴨川リゾート」。格天井が配されたバンケットルームに現存する中で日本で二番目に古い手動式扉のエレベーター、大正ガラスから温もり漂う木造チャペル......。格調高い純和風建築にアールデコ装飾が施された館内には、今も昭和初期のジャパニーズモダンが息づいています。
この唯一無二の空間を気軽に体感できるのが、1階のレストランです。なかでも涼やかな風を感じながら食事ができる夏期の川床は人気が高く、特に鴨川沿いのプレミアムシートは何か月も前から予約で埋まるほど。鴨川の川床の中では最大級の席数と面積があり、席の間もしっかり確保されているので、ソーシャルディスタンスの観点からも安心してご利用いただけます。
さて、この抜群のロケーションでいただけるのは、オーセンティックなフレンチに京のエッセンスが融合したコース料理。京野菜や近江牛をはじめ、湯葉、白味噌など、京都・滋賀の食材をふんだんに用いた京フレンチです。
川床シーズンには、京都の夏を象徴する鱧を使ったお料理をご用意。昆布の旨みを葛とともに纏わせ、柴漬けや梅肉、ビーツを合わせたソースで夏野菜のタブレとともにお愉しみいただく一皿に仕上げました。ワインやイタリアビールのペローニとも好相性。
もちろん和の素材に限らず、仔羊などのフレンチの高級食材もしっかり登場。仔羊背肉には夏らしくバジルやエストラゴンといったハーブをふんだんに使用したジェノベーゼソースを鋳込み、ロースト。 川床でのひと時を、よりラグジュアリーに盛り上げてくれます。
さらに、「せっかく足を運んでくださったのであれば、ぜひ館内の見学も」と誘うのは、マネージャーの倉上裕樹さん。実は食後にお楽しみがもうひとつ、希望すれば建物を案内してもらえます。「館内には創業当時のオーナー様のおもてなしの心がちりばめられています。隅々までご覧いただき、建物の文化や価値を実際に楽しんでください」とのこと。
おいしい京フレンチとともに叶えてくれる、歴史空間へのタイムトリップ。おもてなしの心が脈々と継がれるこの場所を訪れれば、またひとつ奥深い京都の魅力に出会えるはずです。
■LE UN(ル・アン)鮒鶴 京都鴨川リゾート
https://www.funatsuru.com/
075-351-8541